>「放射線って何?」に行ってきました


>カガクノート vol.1 「放射線って何?」powered by KEKキャラバンにお誘いいただいたので参加してきた。
高校で物理を学んだ後は科学ファン……年に数冊ほど物理系の化学啓蒙書を読み解く程度のことしかやっていなかったので、原子や中性子について血肉の通った知識になっていないのが気になっていた。放射性物質の崩壊は自分で描けるイメージで頭の中を動いてくれないし、知ってはいても人に説明することができない。ってことはわかってないということなのだ。
講師はKEK(高エネルギー加速器研究機構)のフジモト先生。筑波の加速器で陽子を飛ばして宇宙の成り立ちを探るホンモノの科学者。地震で施設もダメージを受けていたり放射線のモニタリング情報の提供を続けているなか、東京でセミナーを開講していただいてほんとうにありがたい。

講義は「宇宙はなにでできているの?」というオーソドックスな(?)ところから始まった。量子や次元なんて頭でっかちな「答え」が入っているとダメだ、やはり階段を登るようにここから始めなければ放射線は理解できないよなぁ、と再認識。フジモト先生が今日の説明で用いた言葉は「粒」だった。
そしてこの粒の説明に入っていく。分子と原子、原子を構成する原子核と電子、原子核を構成する陽子と中性子、これらを構成するクォーク。放射線のお話にはクォークは不要なので少し触れただけではあったけど加速器の本命はこの辺り。もっと話したそうなフジモト先生でした。時間が許せばここはもっと聞きたかったなぁ。

原子の構成要素がわかったところで原子を作っている力の話に進む。ここからが今回のセミナーの本番だ。
電子が原子核と引き合う力は数電子ボルト。一電子ボルトの電磁力は一Vの電気が電子一つ分を引っ張る力ということで、まぁ小さい。そして原子核を構成する陽子と中性子が固まる力は1,000,000電子ボルト。
そしてこの力を引き剥がすときに放出されるエネルギーのお話も少し。
電子を原子核に繋ぎとめている力(電磁力)に関連して放出されるエネルギーの例として燃焼をあげていたが、炭素分子が二酸化炭素になるときに放出されるエネルギーは約4eV。ざっくりこれが熱として出てくる。これに対して原子核の陽子と中性子を結びつけている「強い力」を切り離すには、例えば原子炉の中で起こっているウランの核分裂反応では200MeV(200,000,000eV)のエネルギーが放出される。8桁違いに大きい。
これを研究するためにフジモト先生の所属する高エネルギー加速器研究機構には8,000MeVのエネルギーを電子に与えることができる(飛ばすことができる)加速器を使ってるんですよー、ということなんだが、やっぱりこの先が聴きたくなる。

ここまで準備してようやく放射線の話に到達。
放射能、放射性物質、放射線の定義をまとめてから一家に一枚の周期表をざらっと見たりして。化学的な性質を決めているのは電子の数、とばっさりした説明をしつつ、やってきました同位体。

予備知識なしを前提にするとここまでの階段を作らないといけないんだなぁ、と時計を見ると相当に時間をオーバーしてる様子。

安定していない原子が変化する、そのときに放出される「高エネルギー」が放射線なんだー、というところに到達。急ぎながらもヨウ素131やセシウム137、プルトニウム239というトレンディな同位体の崩壊を説明していただいた。よくみるとベータ線、ガンマ線、そしてアルファ線と色とりどり。セミナーで配られた別表に記載位されていたのだけど放射線のエネルギーはヨウ素131のベータ崩壊で0.81MeV(810,000eV)、セシウム137で1.17MeV(1,170,000eV)、プルトニウム239のアルファ崩壊では5.16Mev(5,160,000eV)と核分裂ほどではないもののかなり大きなエネルギーを持った粒子が飛び出してくる。

そしてこの高エネルギーを持った放射線がなぜ嫌われるのか、という説明から半減期まで・・・正直このあたりは持ち時間が少ないことと、危険に思われたくないという防衛的な説明が多くて伝わりにくく感じた部分だ。本来行うはずだった、ベクレルからシーボルト、そして身体に与える影響を検討するための計算実習までをゆっくりと行えていれば「安全」という言葉の使用頻度を最小限に抑えながら、現在の東京での生活における放射線の影響が微々たるものだということを感じ取れたのではないかと思う。

最後は霧箱で放射線を見る実験。これが面白かった。
霧箱は過冷却されたアルコールの蒸気で満たされていて、電荷を帯びた放射線が飛ぶとイオン化しているアルコールが集まって雲を作る。その雲の軌跡を見ることで放射線を関節的に見ることができる実験器具。
話では聞いたことがあるのだけど、実際に目にするのははじめてだった。
半減期が140億年のトリウムを含む紐を霧箱の中央に置くと、紐から四方八方に飛行機雲のような筋が走る。これがトリウムのベータ崩壊で発生する放射線「ベータ線」。細い筋は中性子線。
じーっと眺めていると、二股に飛んで行く雲もある。
窓際に置いた大きな霧箱には宇宙放射線が「すっ、すっ」とまっすぐ入ってくるのが見えた。目に見えない放射線が飛び交っている様子が飛行機雲のように見えるのは本当に面白い。
映像もどうぞ。

YouTube Video

霧箱の実験が終わったあとはちょっとした質疑応答でおしまい。
アットホームな雰囲気の中で過ごした3時間はとても有意義なものになりました。

カガクノート、応援しています。

– Posted using BlogPress from my iPad.

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