広辞苑がキタ!

日本語の辞書と言えば広辞苑

Wikipediaのほうがエントリー多くなっても、やっぱり広辞苑は違う。実家に戻るたびにリビングの机の上にどーんと置いてある広辞苑をぱらぱらと眺めるのは楽しいもんなんだが、リアル広辞苑は家においてあってもなかなか使わない(いちど図書館から廃本拾ってきたことがあるんだけどね)。電子辞書に広辞苑入ってるとか聞いてもあのインターフェイスとハードウェアじゃ持ち歩く気にも使う気にならないんで結局いままで買えずにいた。

そんな広辞苑がロゴヴィスタの手でiPhoneアプリになったというので早速購入。8500円という超大型アプリだけど書籍版とほぼ同じ価格。電子化された辞書ってなぜか書籍よりも高価なことが多くて手が出しにくかったんだけど、同じ価格なら文句はない。

f:id:t_trace:20081124182355p:image

広辞苑第六版─動画・画像・音声付きiTunes Storeへ

検索

f:id:t_trace:20081124182354p:image:w100 f:id:t_trace:20081124182353p:image:w100

肝心のアプリケーションは辞書アプリケーションとしてきわめて真っ当なインターフェイスを持つ。電子辞書のソフトウェアにありがちな「目次から見てねー」という手抜きは感じられない。

起動すると、インデックスの前方一致検索モードで起動し、ひらがな、漢字、そしてインデックスに含まれる英語でも検索を行うことができる。インクリメンタルサーチでないのが少し残念だがアルファベットと違って変換確定がはいる日本語なら問題ないね。

起動時間はちょい長めだけど、WISDOMとかi英辞郎よりは早い。インクリメンタルサーチしないせいかな?とにかく使っているときは重量級アプリであることを全く感じさせないことだけでも見事だ。

エントリーの表示

f:id:t_trace:20081124182352p:image:w100

表示されるエントリは書籍版の広辞苑と遜色がない。ほとんどの文字がきちんとフォントで描かれている。ユニコード対応したOSをきっちり使ってるのは好印象。エントリは初期設定で文字サイズを変更することもできるし画面をタップして拡大することもできる。

エントリーの内容はさすが広辞苑。簡潔でまとまりの良い日本語の説明が自信を持って書かれている。少数のエディターとデスクによって作られるこの安心感だけはCGMで作られる辞書から得られないものだ。

f:id:t_trace:20081124182349p:image:w100

知らない人もいるかもしれないが、広辞苑は漢字字典としても使うことができる。そりゃ「字典」と比較するのは酷だが、書き順や部首まで含まれているのはちょっとうれしい。常用/教育漢字であるかどうかの確認ができるのはモノカキにとっては地道に便利だぞ。

f:id:t_trace:20081124182348p:image:w100

画像をタップするとそれなりに解像度の高い画像が表示される。拡大縮小ができなかったりするので「とりあえずマルチメディア」というレベルでしかないが、地図に書かれた地名を読むこと位はできるので使わないこともない。

画像のサムネイルが正方形なんだが、このサムネイルが元画像からのトリミングでないものも多く、多くの画像が歪んでいるのが残念だ。後で書くけどこの広辞苑アプリ、プログラムとしては、少し粗い。

多彩なインデックス

f:id:t_trace:20081124182351p:image:w100 f:id:t_trace:20081124182350p:image:w100

電子辞書ならではの多彩なインデックスも魅力的。

検索条件としてインデックスの前方、後方、完全一致検索の他に、慣用句からの検索、条件検索、全文検索があり、漢字字典としても使える広辞苑だからこそ意味のある画数、部首、読み(JISコード)からの検索もできる。

お遊びに属するインデックスも、人名、地名、作品名などから地域指定してエントリーを絞り込んでいくようなこともできるので楽しい。これは辞書をぱらぱらめくる感覚に似ている。

細かいバグと仕様のミス

こまかいバグがちょろちょろあるのがちょっと残念。検索項目から次の項目、その次の項目とたぐっていくとNot Foundなエラーが表示されることがあった。検索し直してみるとエントリーが空になっている訳ではなくてリストのハンドリングに失敗して存在しないエントリーが挟まっているだけのようだが、ま、普通はエントリーが空になっていると思うわな。

ときおり大きなエントリを立て続けに表示しているとアプリケーションがクラッシュしたこともあるが、その頻度はWISDOMやi英辞郎と比べてもかなり低い。

人名検索>地域絞り込み>時期絞り込みとやっていく過程で文字列による検索ができないのは仕様のミスだな。エントリーから上に戻ると文字列検索ができるタイミングがある。

プッシュボタンのない部分をタップしたときに近くのボタンがタップされる状態になるバグも数カ所見つけた。

総じて、細かいバグはちょろちょろ見つけたけれどどれも大した問題じゃないんで気にせず使える程度だった。

本当に細かいこと

発音記号の一部が画像として挿入されているんだけど、同じ記号がフォントで表現されていることもあり統一できていない部分があった。ここでその文字を書きたいが、はてなダイアリーはUTF-8対応してないんで面倒……おっと脱線するところだった。

まとめ

その使い勝手も特筆すべきところはないけれどこれだけの膨大なエントリーを普通に検索してみることができるというのは賞賛に値する。先にも書いたけれど起動を含めた動作も軽快だし、エントリー間の推移も軽快。また、エントリーの各所に貼られたリンクが書籍版の広辞苑では得られないリファレンスとなっているのもうれしい。

「広辞苑を買った」という満足感は間違いなく得られた。

追記

600MB超のヘビー級アプリなんで知ってる人は知っていると思うけどiPhone単体での購入は止めておいた方がいい。私の場合でiTunesとの同期に20分ほどかかってしまった。

余談

呉智英の著書「知の収穫」で知ったのだけど、以下から始まる広辞苑の「序」はきわめてトリッキーな文章だってことで今回じっくり読んでみた。すごい。

 いまさら辞典懐古の自叙でもないが、明治時代の下半期に、国語言語学を修めた私は、現在も引き続いて恩沢を被りつつある先進諸家の大辞書を利用し受益したことを忘れぬし……

新・旧仮名遣いコンパチで読めるんだよ。これ。昭和のインテリってすごいんだなー。

知の収穫 (双葉文庫―POCHE FUTABA)

知の収穫 (双葉文庫―POCHE FUTABA)

書いておいた方がいいかな。

この序文からは「ように」「という」のようなフレーズが徹底して排除されているんだ。旧仮名遣いでは「やうに」「といふ」となるわけだが国文学者の挟持としてこのようなトリックを用いたのだろう。真意はわからないけどね。この序文にそういうトリックが含まれていることを、呉智英氏の著作で読まなければちょっと堅苦しい文章としてしかとらえられなかったんだろうな。

移ろっていく日本語の中で盤石の基盤と感じられる辞典が手のひらにあるのはうれしいね。

余談部分に呉智英の著書について加筆した。

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。