生命と非生命のあいだ—NASAの地球外生命研究

書店で「生命と非生命のあいだ」という本を見かけた。ヒットした生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)にあやかった俗気本かと思いきや、著者はピーター D.ウォード。中身はホンモノっぽい。

原題を確認すると“Life As We Do Not Know It”。たしか、前に読んだ本で参考書籍としてあげられていたものなので購入することにした。パチものっぽい題名が付いてなければ手に取ることもなかっただろうから、ちょっと複雑な気分。

ちなみに家の書棚にはもうひとつの「生命と非生命のあいだ (ハヤカワ文庫 NF 24 アシモフの科学エッセイ 4)」がある。これはアシモフ先生のエッセイ集だ。編集者は何も調べなかったのか?

帯にはダーウィン以来の進化モデルを生命の定義から刷新し、宇宙に新たな生命の可能性を見いだすとあるし、目次には堂々と「エイリアン」や「パンペルスミア」などが出てくる。また、序文や序章のあたりでは一見「ダーウィニズム」を否定するようなことも書いてあったりするのだけど、いたって真面目な生命科学啓蒙書だ。

序盤で展開される生命の定義のやりなおしや、その定義に基づいて行われる考察は純粋に読んで楽しい。

Phoenixが火星に着陸して、これからしばらくは生命の痕跡や水の存在などの調査結果が出てくるだろうけど、そのときに本書で拡張定義される「生命」を通してみることができるだけでも楽しい。実際、私が本書を購入したのはPhoenixが着陸した翌日だったけれど、本書の「地球の生命とは何か」を読んだ後、「ふーん」と飛ばしていた部分が俄然面白く感じられるようになった。

惑星・衛生(や太陽系外の惑星)探査ニュースを聞くのに、本書を読んでいるのといないのとでは大きく違うんじゃないかな。

内容を損なうほどではないけれど、推敲が足りないのが気になる。てにをはの間違いや固有名詞の間違いが多く、訳注も序盤で入っていた気合いが終盤では全く見られない。そうそう売れるような書籍でもないのだから、パチもの臭い題名で売り切る新書のようなやりかたは気に入らない。

追記

はてなダイアリーの紹介機能で作者に訳者しか書かれていない。これは,さすがにいかがなものかと思う。

生命と非生命のあいだ—NASAの地球外生命研究 – はてなダイアリー

目次

  • はじめに 001
  • 謝辞 005
  • 序 013
  • 生命とは何か 029
  • 地球の生命とは何か 061
  • われわれが知らない生命 105
  • 生命のレシピ 145
  • 生命の人工的合成 185
  • 地球には、すでにエイリアンがいる? 207
  • パンペルスミア ー太陽系にエイリアン偏在の可能性はあるのか?ー 217
  • 水星と金星 233
  • 月の化石 243
  • 火星 257
  • エウロパ 285
  • タイタン 309
  • 意味合い、倫理、危険 335
  • 宣言 ー古生物学社を火星に、生化学者をタイタンに送ろうー 351
  • 終わりにあたって、生命の森? 361
  • 訳者あとがき 365
  • 参考文献 (6)
  • 索引 (1)

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