1421―中国が新大陸を発見した年

鄭和の艦隊が世界一周していた、と主張する元海軍士官のイギリス人による著作。

大航海時代の冒険家たちは、明の鄭和艦隊が作った海図をもとに航海していた。鄭和の艦隊はよく知られているアフリカ東岸までの航海に加え、喜望峰をまわってアフリカ西岸、大西洋を超えてアメリカ大陸、果ては世界一周していたのだ。という内容だ。

航海術や海流、造船については専門家の視点から面白い見解を出してくるし、逞しい想像力で描かれる航海の様子は、世界中を航海した著者の経験もあって、ちょっとした海洋冒険小説のように楽しむことができる。

ただ、資料の扱いが雑すぎてノンフィクションとしては辛い。

本書ではピリ・レイスの海図が主張の重要な根拠としてたびたび登場するが、偽書の疑いが濃厚な……というか、アレな主張に必ず使われる手に垢がつきまくった資料を使っているって認識がなさそうなのが痛い。こういうところがあると地形の推定が「聖書の暗号」のような希望的観測による当て込みにしか見えなくなってしまう。ト本としても残念なところ。

当時の中国は造船技術や大船団を組織できた財政など、確かにヨーロッパよりも遥かに進んでいた。技術的には世界一周も可能だったと思えなくはない。そういう事実を踏まえたif歴史物としてはそれなりに楽しめる。

著者の主張通りにカリブ海で実際に中国の船が引き上げられたりすると確かに面白いんだろうけどね。

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