Kindle連載


先週の金曜日に告知された「Kindle連載」というサービスは、もう試していただけているだろうか。

Amazon.co.jp:Kindle連載 Kindleストア

連載作品を、終了時点までの先払いで楽しむことのできるAmazonのサービスだ。18作品にはエッセイ、小説、コミック、そしてノンフィクションまでがラインアップされている。価格も200円から1,300円までとまちまちだ。サービスの紹介については、いくつもの記事が既に紹介しているので、ここでは繰り返さない。

Amazon.co.jp、連載形式で電子書籍を自動配信する「Kindle連載」開始

「Kindle連載」は本国でKindle Serialsとされているサービスの日本マーケット向けサービスとして始まった、とされている。しかし、その実情は大きく異なる。

現在、本国のAmazon.comでは14作品が連載している。作品はSi-Fi、Fantasyとロマンス、そしてビジネス書。現在配信している作品の価格はすべて$1.99。配信終了時点で300ページほどのペーパーバックになるほどのボリュームの作品が多くを占める。

ボリュームと価格のバランスはともかくとして、作品数が少ないという印象を持たれることだろう。14作品というのは、数で凌駕し続けてきているAmazonには似つかわしくない。日本でいうならば、中規模の出版社の文芸部が世に問う作品の数ほどしかない。しかし、それは当然のことなのだ。Amazon.comに並ぶKindle Serialsの作品はすべて、たった一つの出版社が配信している。

その出版社の名前はAmazon Publishingという。Amazonが経営する出版社だ。Amazon.comのKindle Serialsはサードパーティ出版社を経由しない、完全な独立サービスとして運営されているのだ。

Kindle Serialsから作品を出す場合、Amazon Publishingの窓口であるkindleserials@amazon.comへ連絡することになる。実際に連載が始まった後の話は昨日も紹介したHow the Amazon Kindle Serials Program Works (with Roberto Calas)がよく雰囲気を伝えている。

この、Roberto Calasが語る事例では8,000~10,000ワードのエピソードを2週おきに執筆、配信している。それほど重くない作品だが、日本語ならば原稿用紙にして一回あたりが80枚程度の内容になるだろう。ベータリーダーへ2回読んでもらい、エディターへ送る。それを8週間も続けたのだ。紙の書籍で販売するところまで見込んでの執筆なのだろうが、なかなか厳しいスケジュールだ。Amazon.comのレビューやディスカッションを参照しながらの執筆は、編集者も大変だっただろう。それだけの市場に育っているということでもある。

さて、日本ではどうかというと……私個人の事例で恐縮だが、原稿用紙にして70枚程度の作品を約5日で書き下ろしてから、打ち合わせの上で分割数を決め、100枚に増量する書き直しと2往復の校正を行った。記者会見でも話したのだが、分量を自由に設定できたため、過不足のない描写を最後まで通すことができたと思っている。Kindle連載のスロットがどの程度なのか、そして作品の入れ替えがどの程度の頻度になるのかがようやくわかったので、次回作ではもう少し工夫をしてみたい。次回配信でもお声がかかれば、の話ではあるのだが。

私は先に入稿してしまっているのだが、鈴木みそさんは2週間後に配信されるデータを昨日入稿していたようだ。

Amazon Publishingは11のブランドを擁する総合出版社ではあるが、日本向けのデパートメントやサービスは、まだ存在しない。Amazon Crossingが翻訳を扱っているが、外国語から英語、または英語からドイツ語の作品が扱われている程度だ。実際、Amazon.deやAmazon.frではKindle Serials相当のサービスは始まっていない(Amazon.deにはAmazon CrossingからKindle Singlesの作品が出ている)。

ともあれ、Amazon Japanはドイツでやっているような短編、一記事配信のKindle Singlesでも、フランスで行っている雑誌配信でもなく、本国では全く手をつけていないサードパーティとなる国内の出版社と協業する「Kindle連載」というサービスを選んだということだ。その一翼を担わせていただいている緊張感が、日増しに高まってきている。

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