Slackを使う

一昨年からある雑誌Slackチームに参加していたが、かなり便利なので自分でもチームを持って、編集者との連絡に使うことにした。用途は以下の通りだ。

  • 編集者との連絡
  • ファイルの受け渡し
  • プロモーションの告知
  • 現状の報告
  • メールの通知

Slackを使うようになった編集者と連絡する回数は増えた。書き下ろしならそれほど連絡に苦労することもないが、月間連載となるとそうもいかない。次回分の原稿を書きはじめるころ、展開について相談をしたくても相手は校了に差し掛かっていて打ち合わせもやりにくい。そんなとき、メモやスケッチを送って一言二言のコメントをもらえるSlackのメッセージはありがたい。メールだと構えてしまうし、やりとりしたい実質的な内容の倍ほども文章を書かなければならない。Slackならば簡単に投稿できる画像や写真、ウェブサイトのURLもメールだと面倒に感じる。

なにより楽になったのはファイルの受け渡しだ。ほとんどPDFではあるが、連載の時は以下のようなファイルのやりとりが発生する。

  1. 作家(私)から:初稿をinDesignで自動組版したPDFで送付
  2. 編集者から:プリントアウトをスキャンした、エンピツ(指摘)入りのPDFが届く
  3. 作家から:第2稿を、自動組版したPDFと、入稿用のフォーマット(最近はinDesignファイルが多い)で納品
  4. 編集者から:編集者、校閲の指摘が書き込まれたPDFが届く
  5. 作家から:PDFに赤字の反映を書き込んで送付(著者校)
  6. 編集者から:赤字を反映させた印刷入稿するゲラのPDFが届く。若干の指摘がある。
  7. 作家から:口頭、あるいはPDFに赤字を書き込んで送付(校了)

こちらから送るファイルはメールに添付できるほど小さなものが多いが、編集者からやってくるPDFはスキャンされた画像の塊だ。「プリントアウトに書き込んでスキャンするなんて!」と思う向きもあるだろうが、紙に書き込んだ指摘の一覧性はAdobeやAppleのPDFリーダーよりも圧倒的に優れているので、私も手書きのコメントが書き込まれたスキャンの方がありがたい。今の所は。

とにかく50枚ほどの原稿でも10MBを超える画像のPDFはメールに添付できず、多くの場合宅ふぁいる便でやってくる。これがちょっと嫌だった。宅ふぁいる便は確かに便利なサービスだが、ファイルをアップロードしてから72時間しかファイルを保存してくれないので、メールを受け取ったらすぐにダウンロードしておかなければならない。出張などに行っていてダウンロードし損ねたことは一度や二度ではない。編集者にもSlackにアップロードしてもらうことで、この不満は解消した。iPad版のアプリからファイルを開き、PDF Expertで開いて閲覧したり、修正のための赤字を入れたりする。そしてPDF Expertから直接Slackに投稿すればいいのだ。

Dropboxでもほとんど同じことができるが、ファイルを所定のディレクトリにアップロードした後でURLを作ってメールかなにかで伝える必要がある。今までは手間とも思っていなかった手続きだが、Slackで直接アップロードするようになってからは、URLを作るのも、メールするのも面倒なことに思えてきた。そしてなにより、メッセージに添付できるSlackでは、保存する場所を決める必要すらないのが嬉しい。今では、自分のメモ書きなどもSlackの自分宛メッセージに投稿することにしている。

使い方の紹介を続けよう。

プロモーションの告知は、専用のチャンネルを作って複数の社の編集者が読めるようにしてある。このチャンネルは海外に出るときには重宝した。期間はいつからいつまでなのか、登壇でご一緒する相手は誰なのか(もしも編集者の知人ならば人となりも聞くことができる)、海外での連絡方法は? そんな連絡をするのにメールを使おうとすると編集者ごとに同じようなメールを書いて送らなければならないが、Slackなら担当者全員が読めるチャンネルに書き込んでおけばいいし、Slackらしくインテグレーションを使って、Googleカレンダーから共有してもいい。

このあたりでお気付きの方もいるかもしれないが、私は自分のSlackチームを有料版で使っている。

Slackは無料でもかなり使えるサービスだ。5GBまでのストレージに、10個までの他サービス連携、直近10,000メッセージまでの検索機能を備えているし、通知のカスタマイズも柔軟に設定できるので、関係のないメッセージに悩まされることもない。業務用のLINEといえばわかるだろうか。だが、無料版のSlackにはオーナーと管理者、そして標準メンバーという三種類のアカウントしかない。標準メンバーは公開チャンネルを全て見ることができるし、参加者の一覧も見ることができてしまうが、私の用途では担当編集者にチームの参加者全員を知らせたくはなかった。将来的には作品ごとにベータリーダーを招いて意見を聞きたいとも思ってもいる。そんな制限されたアカウントを作れるのは有料版だけなのだ。

Slack Pricing(Slack公式ページの価格表)

有料版では、無料版の機能に加えて無制限のメッセージ検索、無制限のアプリケーション連携、チーム参加者一人当たり10GBのストレージが使えるようになる。費用は一アカウントにつき、月あたり$8。年額一括払いすれば$6.67。アクティブでないメンバーの費用が自動的に計算から外れるのは良心的だ。これが週単位になればいうことはないのだが……さすがにそれではSlackのマネタイズに支障が出るのだろう。

有料版にしたことで、比較ページではわからなかったメールの投稿が使えるようになったのは嬉しかった。Slackに受信用のメールアドレスを設定することができ、そこに送られたメールを特定のチャンネルに投稿できる。IFTTTZapierのようなWebパイプサービスを使えば似たようなことはできるのだが、有料版で使えるメール連携はSlackのネイティヴな機能なので扱いやすいし、堅牢さを感じる。この連携で、メールをもらったらすぐに対応しなければならない相手のメールをSlackに飛ばして通知を受けることができる。また、メッセージごとに設定できるリマインダーで、対応を忘れないようにすることもできる。

実際に使ってみなければメッセージベースのやりとりが、どれだけメールよりも楽かということは伝わりにくいかもしれないけれど、とりあえずわたしの使い方を書いてみた。参考になれば幸いだ。

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