iPhoneで小説を書く


リリースでも書いているように、Gene Mapperのほとんどの部分はiPhoneで執筆されている。専業の物書きでない私にとって最も有効に使える時間は通勤時間だからだ。片手で、ろくに画面を見なくても入力できるiPhoneは、テキストの原稿で10万文字を超える最終段階まで素晴らしい執筆ツールであり続けた。

「小説を書くため」と称しているiPhone用のアプリは多数あるが、実際に使ってみると自分の用途に向いたものはほとんどなかった。かれこれ50種類ぐらいは試しただろうか。まだまだアプリ購入に要したコストは回収できていないが、それはともかくとして、それぞれの執筆段階で使ったアプリを、順を追って紹介してみようと思う。

書き始めるときにこだわっていたのは、ルビの表示ができる縦書きプレビュー付きのエディターだった。このようなアプリは国産のものしかないが、エディタとして実用の土俵に載せられたのは今日紹介するiText Padだった。iText Padは青空文庫形式でルビを記述すると縦書きのプレビューに反映させることができる。原稿用紙モードも気分を盛り上げてくれた。右のスクリーンショットが使っていた当時の原稿を表示した状態だ。作中に出てくる蒸留作物の種苗メーカー「L&Bエル・ビー」はまだ書き始めた頃「UCOM」だった。懐かしいな。

iText PadのATOK連携も試したが、頻繁に発生するアプリケーションの切り替えが厄介なのと、操作性が標準のフリックと異なるのでほとんど使っていない。

iText PadはDropBoxを介してファイルをiPadと共有することができる(細かな修正はiPadでも行っている)ので、10,000文字あたりまで使っていた。ルビ程度ではあったが縦書きを大画面で確認できたのは便利だったのだ。

そして、10,000文字を超えるところで使うのをやめた。

章立てが扱えなかったためだ。iText Padの中でブックマークを設定することはできるのだが、プレーンテキストをDropBoxでやり取りするとブックマークは消えてしまう。また、10,000文字近くになるとファイルをDropBoxに保存するのにも無視できない時間がかかる。自動保存もなかったため、手動での同期が失敗し始めた。ファイルがUTF-8でエンコードされていないのに気付いたのもこの頃だった。ベトナム語を原稿に含めることができない。DropBoxからiText Pad以外のツールで開くことができない。そんな理由が重なって、ここで使うのを断念した。

なぜか国産の「小説を書く」ツールは章立てを扱うことができるものが少ない。あっても見出しをマークアップできる程度だ。そこで、複数のテキストファイルをバインドしてプロジェクトとして扱えるツールを探すことにした。

最後まで使うことはなかったが、iText Padの軽快な操作性と美しいレンダリングは、ゼロから書き始めた私を一本のお話ができるところまで支えてくれた。アプリ開発元のMichiaki Yamashita氏には深く感謝したい。

次回は、章立てができるエディタを二種、紹介したい。

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