iPhoneで小説を書く(3) OS Xでの編集


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前回のストーリー:iPhoneで小説を書く(2)

「Gene Mapper」はそのほとんどをiPhoneで書いているが、もちろんiPhoneだけで出版しているEPUBやKindle用のデータが作れたわけではない。iPhoneやiPadにもEPUBを出力できるソフトがないわけではないが、かっちりとした小説を組めるアプリは2012年の8月現在でも存在していない。やってやれないことはないのだろうが、執筆はともかくとして、やはりiOSで「開発」はまだ難しい。

第一稿が終わりを見せ始めた頃、手間はかかるが自分でコンバートする方法を考えるためにOS XのEPUBソリューションを探した。

EPUBを作るならば現在必須のソフトウェアはSigilだ。でき上がったEPUBを編集することができるソフトは、それほど多くない。

Sigil -A WYSIWYG ebook editor-

Sigil(ˈsijəl:シジル)はzip圧縮されたEPUBを直接開き、編集することができるGUIのエディタだ。OS XだけではなくWindowsやLinuxでも動作する。だが、Qtで作成されたSigilに搭載されているWebKitは旧く、縦書きの表示ができるわけではないし、公式にはまだEPUB 3に対応していない。そこで、EPUB 3に対応したSigilも用意することにした。

EPUB3.0 編輯工具及EPUB3.0 中文規範下載

このSigilはバージョンが0.3相当(公式は0.5)と少し旧いのだが、EPUB 2でコンパイルされたファイルをEPUB 3にコンバートすることができる。最終的にはコンバートにしか用いなかったのだが、EPUBの作り方を学ぶ上で役に立った。EPUBは一太郎やinDesignなどから「書き出す」ことはできるが、書き出されたEPUBを直接編集できるソフトウェアを持っておいて損はない。

SigilでEPUBを作り上げられる確信は得たものの、執筆環境はまだ探さなければならなかった。

SigilはスクラッチからEPUBを作ることもできるのだが、Gene Mapperではそうはいかない事情があった。iPhoneで書いているプレーンテキストを回収して章立てに組み込み、EPUBを作れるソリューションでなければ、通勤の他にはオマケみたいな時間しか使えない私には意味がなかったからだ。前回挙げたManuscriptのOS X版はEPUBを出力することができたが、英文のスタイルシートがインラインで埋め込まれてしまったため、使用を諦めた。せめてCSSに分離されてくれなければSigilでの置き換えも現実的ではなくなる。

悶々としていたときに、助け舟を出してくれたのが、解説も書いていただいている@tot_main(琴子)さんだった。DropBox連携ができるストーリーエディタ「Scrivener」はどうかということだった。

Literature and Latte – Scrivener

Scrivenerを開いた瞬間、わかった。これが求めていたものだ。

章立てのできるエディタを遍歴してきたため、Scrivenerが求めるスタイルには全く迷いなく取り組むことができた。小さな単位の文章を構築するように一つの文書を作り上げていくスタイルの著述ソリューションだ。「Gene Mapper」は第二稿に入ろうとしていたところなので、既に固まっていた登場人物カードなどは使っていないが、Final Draftのように著述用のリンクを埋め込むこともできる。そしてiOS版こそないものの、原稿をDropBoxにプレーンテキストで同期することができた。これが決め手になった。

Manuscriptの原稿からScrivenerに持ち込み、章の中をいくつかのセクションに分離した。一つのまとまりがある章を2,000〜3,000文字のセクションに分離していった。この作業を行う過程で、長過ぎる説明を省き、別のセクションに集中して移すようなことを行っている。Gene Mapperの中でそのセクションの区切りは「──」で区切られているが、このような区切りの方法を設定できるのも素晴らしい。

Scrivenerは原稿を様々な形式で出力することができる。HTMLでもいいかと思っていたのだが、EPUBをversion 2.0ながら出力することもできたのは嬉しい驚きだった。目次が生成され、注がマークダウンで書ける(文中リンクが動作しないビュワーのことを考えて全て削除したのだが、Gene Mapperの一稿にはいくつかの注が存在していた)。

DropBoxとシンクするたびにスナップショットが作成され、文章のコンペアも行うことができるのも嬉しい機能だった。勢いがあった文章を殺してしまったときに、たとえそれが使えなくても、書き換え前の見ることができるのは心強い。

そして、一日千文字程度の書き直しをiPhoneで行う、第二稿のフェイズをはじめることができた。

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3件のコメント

  1. はじめまして。このサイトをいつも読んでいます。
    急に質問をして申し訳ありません。

    Scrivenerなのですが、画像を見ていると日本語化がされています。
    しかしアップルストアでは英語のみ。
    ネット上に日本語化用のを作成しておられる方はいました。
    そちらを使用なさっているのでしょうか?

    それとも実は日本語も対応しているとか?

    教えてください。

    1. Scrivenerは英語版のまま使っています。ドキュメントは日本語のものも作ることができます。

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